神々の黄昏 ウィーンオペラ
JUN 2023 | ||||||
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神々の黄昏
「ニーベルングの指環」第3夜
作曲:リヒャルト・ワーグナー
あらすじ
序幕:ヴァルキューレの岩山
序奏は「覚醒の動機」のライトモティーフで始まるが、『ジークフリート』(第3幕第3場)のときより半音低い変ホ短調で、拍子・速度指定も異なる。エルダの娘で「運命の女神」である3人のノルンが登場し、「過去」、「現在」、「未来」を語る。第1のノルンは、『ラインの黄金』以前の前史、第2のノルンはヴォータンの槍が叩き折られたこと(『ジークフリート』第3幕第2場)、第3のノルンは世界終末を予感・幻視する。やがてノルンたちが操る綱が切れ、3人は大地の下に姿を隠す。
ここより管弦楽による「夜明け」の音楽。「ブリュンヒルデの愛の動機」が繰り返され、高揚したところでブリュンヒルデとジークフリートが登場する。ジークフリートは「支配の指環」をブリュンヒルデに愛の証として預け、ブリュンヒルデは愛馬グラーネをジークフリートに贈る。新たな勲を求めてライン川に向けて旅立つジークフリートを、ブリュンヒルデは岩山に残って見送る。管弦楽による「ジークフリートのラインへの旅(ライン騎行)」が第1幕への間奏曲となる。
第1幕:ライン河のほとり、ギービヒ家の館の大広間―ヴァルキューレの岩山
第1場
グンターとグートルーネ、ハーゲンが話し合う。ギービヒ家の名声を高めるため、炎に囲まれた岩山のブリュンヒルデをグンターの妻とし、無双の英雄ジークフリートをグートルーネの夫に迎えるよう提案したハーゲンは、そのためにジークフリートに薬を飲ませて過去を忘れさせるという計略を考え出す。グンターとグートルーネは同意する。そこへジークフリートの角笛が聞こえてくる。小舟でライン川をさかのぼるジークフリートにハーゲンが呼びかけ、館に招く。
第2場
ギービヒ家の館に入ったジークフリートは、戦いか友好かどちらかを選べと迫る。グンターは歓迎の意を表し、グートルーネが「忘れ薬」の入った飲み物をジークフリートに手渡す。忘れ薬を飲んだジークフリートは、たちまちブリュンヒルデのことを忘れ、目の前のグートルーネに夢中になってしまう。ジークフリートはグンターと義兄弟の盟約を誓い、グンターがブリュンヒルデを妻として欲していると聞くと、グンターのために岩山を囲む炎をかいくぐってブリュンヒルデを誘拐することを約束、ただちに二人は出発する。
グートルーネが部屋に下がり、見張りのためにひとり残ったハーゲンは、ジークフリートやグンターらへの憎悪を示し、すべては支配の指環を奪うための策略であることを語る(「ハーゲンの見張り」のモノローグ)。
第3場
場面転換して岩山。ブリュンヒルデのもとへヴァルトラウテが訪ねてくる。『ジークフリート』第3幕第2場でジークフリートに槍を折られたヴォータンは、ヴァルハルに戻ると世界樹のトネリコ[注釈 3]を切り倒させ、城内に薪を高く積み上げて神々の終焉を待ち受けていた。
ヴァルトラウテはヴァルハルのただならない様子を伝え、神々の窮地を救うために指環をラインの乙女たちに返すようブリュンヒルデに懇願する。しかし、ブリュンヒルデはジークフリートとの愛の証を手放すつもりはないとして拒絶する。絶望したヴァルトラウテは飛び去る。
そこへ隠れ頭巾でグンターの姿になりすましたジークフリートが現れる。ブリュンヒルデは悲鳴を上げて抵抗するが、ジークフリートは力ずくで従わせ、ブリュンヒルデから指環を奪う。
第2幕:ライン河畔、ギービヒ家の館の前
「闇の領域」を表す、暗く重々しい序奏。
第1場
ハーゲンの前にアルベリヒが現れる。アルベリヒはハーゲンに指環の奪還を誓うよう求めるが、ハーゲンは心配無用だと答える。
第2場
夜明けとともにジークフリートがギービヒ家の館に戻ってくる。ジークフリートはハーゲンに、「求婚」がうまくいったこと、遅れてグンターがブリュンヒルデを連れて帰ってくることを告げる。グートルーネはジークフリートとブリュンヒルデが一夜をともにしたと聞いて気にするが、ジークフリートは「二人は近くにいたが、離れていた」と言い訳する。
第3場
ハーゲンが軍勢を呼び集める。これに応えて、四部作を通じて初めて合唱が登場する。集まってきたギービヒ家の家臣たちに、ハーゲンは冗談を飛ばしながら婚礼のための招集であることを告げ、これを聞いた家臣たちは陽気に歌い出す。
第4場
グンターとブリュンヒルデが館に到着し、家来たちが出迎える。ブリュンヒルデは館のうちにジークフリートを見いだして愕然とする。ジークフリートがグートルーネと結婚しようとしていること、さらに、グンターに奪われたと思っていた指環をジークフリートがはめていることに気づいたブリュンヒルデは、ジークフリートが自分を裏切り、グンターになりすまして捕らえたのだと糾弾する。このため、グンターは家来たちの前で面目を失ってしまう。
過去を忘れたままのジークフリートは、ハーゲンが突き出した誓いの槍に手を当て、自身の潔白を宣誓する。ブリュンヒルデはジークフリートを押しのけ、偽誓したジークフリートは倒されるべきと宣誓する。騒然となるなか、ジークフリートは「口先の争いには男はいさぎよく引き下がろう」と言い残し、グートルーネと家来たちを従えて館へ引き上げる。
第5場
あとに残ったブリュンヒルデ、グンター、ハーゲン。身の不幸を嘆くブリュンヒルデにハーゲンが近づく。ジークフリートへの復讐心にとりつかれたブリュンヒルデは、ジークフリートを不死身とするためにまじないをかけたこと、ただし、敵に背を見せない男と信じ、背中にはまじないをかけなかったことをハーゲンに告げる。ハーゲンは、グンターが失った面目を取り戻すためは、ジークフリートの死しかないとして、グンターを励ます。グンターは、兄弟の契りを交わしたことや、グートルーネの心情を思いやって躊躇するが、ハーゲンに押し切られて同意する。二人は次の日にジークフリートを狩りに呼び出すことにする。
復讐を誓うブリュンヒルデとグンター、二人を利用して指環を奪おうとするハーゲンによる三重唱。幕切れでは、館からジークフリートとグートルーネの婚礼の行列が繰り出してくる。
第3幕:ライン河のほとり、自然のままの森と岩が入り組んだ谷あい
「角笛の動機」に「苦痛の動機」が応える不吉な序奏。
第1場
翌日。狩りの途中で道に迷ったジークフリートに、3人のラインの乙女たちがからかいの言葉をかける。乙女たちから指環をほしいといわれ、戯れに一度は渡す気になるジークフリートだったが、乙女たちが面持ちをあらため、指環に呪いがかかっていること、これを持つものに死の災がふりかかると警告したことで、反発心がわき上がり、翻意する。乙女たちは、この日のうちにも指環はブリュンヒルデが相続することになるだろうと予言し、彼女の元に向かう。
第2場
グンター、ハーゲンらの一行がジークフリートと合流する。顔色の優れないグンターを励まそうと、ジークフリートは自分の身の上を語り始める。ハーゲンは記憶を呼び戻す薬を酒に入れてジークフリートにすすめる。酒を飲んだジークフリートは、過去を語るうちにブリュンヒルデとの出会いを思い出し、一同に明かしてしまう。驚愕するグンター。ハーゲンは間髪を入れず、飛び去る二羽の大ガラス[注釈 5]にジークフリートの注意を向けさせ、ジークフリートが後ろを振り向いたところ、その背中に槍を突き立てる。「なんということをしたのだ!」と責めるグンターに、ハーゲンは「偽誓を罰したのだ」とうそぶく。瀕死のジークフリートは、ブリュンヒルデの目覚めを回想して息絶える。
第3場への間奏、「ジークフリートの葬送行進曲」。
第3場
グンター、ハーゲンらがギービヒの館に帰ってくる。ジークフリートの死を知ったグートルーネはグンターを詰り、グンターはハーゲンの犯行だと明かす。昂然と開き直ったハーゲンは、ジークフリート殺害は偽誓の報いであり、指環は自分のものだと要求する。グンターは指環は自分とグートルーネのものだとして拒絶するが、ハーゲンはグンターに襲いかかって倒す。ハーゲンがジークフリートの亡骸から指環を取ろうとすると、ジークフリートの手が威嚇するように持ち上がってこれを拒み、一同はその場に凍り付いたようになる。
そこへ、館の奥からブリュンヒルデが威厳ある姿で登場する。グートルーネがブリュンヒルデを非難するが、ブリュンヒルデは一喝して退け、恥じたグートルーネはグンターの遺体にかがみ込んで動かなくなる。
以下、幕切れまで「ブリュンヒルデの自己犠牲」の音楽。ラインの乙女たちからすべてを聞かされたブリュンヒルデは、ギービヒ家の家臣たちに河畔に薪を積み上げるよう命じる。ジークフリートを称え、その亡骸を薪の山の上に運ばせる。ブリュンヒルデは指環を手に取り、ラインの乙女たちに返す決意を語る。積まれた薪の山に松明が投じられ、火が燃え上がると、ブリュンヒルデは愛馬グラーネにまたがり、炎の中に飛び込む。
ギービヒの館は炎に包まれて崩れ落ち、ライン川は氾濫して大洪水となる。ラインの乙女たちが姿を現し、これを見たハーゲンは「指環から下がれ!」と叫んで飛び込むが、ヴォークリンデとヴェルグンデに水中に引き込まれてしまう。フロースヒルデが指環を高くかざしている姿が見え、乙女たちは泳ぎ去る。炎は天上に広がり、神々と勇士たちが居並ぶヴァルハルが炎上する。「愛の救済の動機」による終結。
プログラムとキャスト
<スタッフ・キャスト>
指揮:Franz Welser-Möst
演出:Sven-Eric Bechtolf
舞台:Rolf Glittenberg
衣装:Marianne Glittenberg
ジークフリート:Burkhard Fritz
グンター:Clemens Unterreiner
ハーゲン:Mika Kares
アルベリヒ:Michael Nagy
ブリュンヒルデ:Ricarda Merbeth
グートルーネ:Regine Hangler
ヴァルトラウテ:Monika Bohinec
他
ウィーン国立歌劇場
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トラム: 1 、 2、D 、62
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タクシースタンドが近くにあります。又、公演終了時にはタクシーが劇場前に待機しています。ホテルまでのお帰りがご心配な方にはタクシーのご利用をお勧めします。
歴史
ウィーン国立歌劇場はウィーン造形アカデミーの建築家アウグスト・シカート・フォン・ジッカルツブルクとエドゥアルト・ファン・デア・ニルが共作で設計し、1869年5月25日、当時の皇帝フランツ·ヨーゼフと皇后エリザベートの存在下で、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」により盛大にこけら落としが行われました。
フランツ·フォン·ディンゲルシュテット(劇場支配人・詩人)、ヨハン・ヘルベック(指揮者・作曲家)、フランツ・ヤウナー(演出家・劇場支配人)、ヴィルヘルム・ヤーン(指揮者)などの芸術的影響を受け、オペラ座の人気は益々高まっていきました。1897年に総監督となったグスタフ・マーラーは、古い上演システムを改新し、新しい舞台芸術を取り入れ、新世代歌手を積極的に起用するなどの第一次改革を行い、その後後継者たちにも引き継がれていきました。
又、マーラーはそれまでオペレッタを上演しなかったオペラ座にヨハン・シュトラウスの「こうもり」を正式なレパートリーとしました。
20世紀になると、総監督のリヒャルト・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」(1916年10月4日)や「影のない女」(1919年10月10日)の初演が行われます。
第二次世界大戦中、1938年から1945年年間はオペラ座暗い時代を迎えます。ナチスの下で多くの団員が追放・殺害され、様々な作品が上演禁止になりました。
1945年3月12日、連合軍の爆撃により舞台は破壊され、建物は火災に遭います。その後、ウィーン・フォルクスオーパーやアン・デア・テアーターウィーン劇場が仮の拠点となり、1955年11月5日カール・ベームによる「フィディオ」の上演で再開を果たします。
1956年に芸術監督に就任したヘルベルト・フォン・カラヤンはイタリア語やその他の外国語作品もドイツ語による上演を行ってきたそれまでの慣例を破り、原語上演の方針を導入し、これはその後ドイツその他の大劇場にも波及しました。
今日ウィーン国立歌劇場は、多大なレパートリーが故世界で最も重要なオペラ座の一つとみなされています。
2010年9月1日以来、音楽監督はフランツウェルザー=メスト、音楽総監督はドミニクマイヤー。